日本には古来から独自に発展した占いの文化があり、中国や他国から伝わった占術とともに発展を遂げてきました。
主な日本独自の占いとその起源を紹介します。
1. 陰陽道(おんみょうどう)
特徴: 陰陽道は、日本古来の自然崇拝や呪術と、中国から伝わった陰陽五行思想が融合したもので、平安時代には宮廷内の重要な占術となりました。陰陽師(おんみょうじ)と呼ばれる専門家が、天体観測や方位の吉凶、呪術などを用いて、運勢や災厄を占い、祓いの儀式を行いました。
起源: 中国の陰陽思想と五行思想が奈良時代に日本に伝来し、平安時代に日本独自の陰陽道が形成されました。安倍晴明(あべのせいめい)などの著名な陰陽師が活躍したことで、陰陽道は庶民にも広がり、後世に大きな影響を与えました。
2. 筮竹(ぜいちく)占い(易占)
特徴: 筮竹占いは64本の竹を使って占う方法で、「易(えき)」とも呼ばれます。これは中国の『易経(えききょう)』に基づいており、筮竹を振って出た結果によって吉凶を占います。日本では神社や寺院で用いられ、特に神意を伺うための占いとして信仰されました。
起源: 中国の易学が飛鳥時代に日本に伝わり、日本でも国家的な祭事や個人の吉凶占いに取り入れられるようになりました。平安時代以降、陰陽師たちによっても多く使われました。
3. 風水・家相
特徴: 風水は土地や建物の方角や配置が運気に与える影響を占うもので、中国から伝わり、日本では「家相(かそう)」として発展しました。家相は、家屋の間取りや土地の配置に関する吉凶を見定めるもので、室町時代以降、家を建てる際の重要な占術として広がりました。
起源: 平安時代にはすでに風水思想が日本に伝わっていましたが、鎌倉時代以降に日本独自の家相として発展し、家の建築や土地選びに関する占いとして庶民の間に普及しました。
4. 九星気学(きゅうせいきがく)
特徴: 九星気学は、九星(木・火・土・金・水の五行と九つの星)を用いて吉凶を占うもので、年ごとの運勢や方位の吉凶を判断する方法です。引っ越しや旅行の際の方位を占う方位術として広まりました。
起源: 江戸時代に中国の気学や陰陽五行思想をもとに、日本独自の「気学」が生まれました。明治時代には九星気学として体系化され、庶民の生活に密接に関わる占術として現代まで広く使われています。
5. 手相(掌相)
特徴: 手相は手のひらにある線や丘の形を観察し、性格や運命を占う方法です。日本では鎌倉時代ごろから広まり、現代でも身近な占いとして人気があります。特に運命線、感情線、知能線といった基本の線が主な判断材料です。
起源: 中国やインドから伝わった手相占いが日本に伝わり、日本独自の解釈が加わることで広く親しまれるようになりました。江戸時代には庶民の間でも人気の占術でした。
6. おみくじ
特徴: おみくじは、神社や寺で運勢を占うためのくじ引きです。大吉、中吉、吉、凶といった結果が書かれており、現代でも初詣や祭りの際に行われる伝統的な占いです。
起源: おみくじの起源は平安時代ごろに遡り、中国の「籤占(せんうら)」が日本に伝わり、神仏に尋ねる神聖な占いとして神社や寺院で行われるようになりました。